コムギ(小麦)の栽培Q&A・解説
コムギ(小麦)はイネ科に分類される作物です。このページでは、コムギ(小麦)に関する全18問を、正解と解説つきの一問一答で整理しています。土壌・施肥管理・播種・育苗・病害対策・害虫対策・収穫・品質管理など、栽培の現場や検定対策で役立つ知識を、読み物として確認できます。
コムギ(小麦)とは — 栽培の基礎知識
コムギは西アジアを起源とするイネ科の作物で、米・トウモロコシと並ぶ世界三大穀物のひとつです。パン・麺・菓子など幅広い加工食品の原料となり、用途に応じてタンパク含量の異なる品種が使い分けられます。日本では主に秋にまいて初夏に収穫する秋まきコムギが中心です。
コムギ栽培では、生育初期の麦踏みが特徴的な作業です。冬期に苗を踏むことで根張りを促し、分げつを増やし、霜による浮き上がり(凍上)を防ぎます。また、一定の低温にあたることで花芽ができる春化が正常な出穂に必要で、まき時期の管理が重要になります。
赤かび病・うどんこ病・さび病や、アブラムシなどが主な障害です。収穫期の降雨は品質低下や穂発芽を招きます。以下のQ&Aで、播種・麦踏み・春化・施肥・病害虫・収穫まで、コムギ栽培の要点を学べます。
土壌・施肥管理
Q1.コムギ栽培で特に注意すべき土壌条件はどれですか。
- 湿害に弱いため、排水のよい畑が適する
- 常に水をためた湛水状態が適する
- 強酸性で乾ききった土が最適
- 養分のない砂だけが最適
解説コムギは湿害に弱く、排水不良の畑では根が傷んで生育・収量が低下します。明渠や額縁排水などで排水性を確保することが重要です。
Q2.コムギで窒素肥料が多すぎたときに起こりやすい問題はどれですか。
- 茎葉が茂りすぎて倒伏しやすくなる
- 子実が極端に大きくなりすぎる
- 分げつがまったく出なくなる
- 根だけが過剰に肥大する
解説窒素過多はコムギを軟弱徒長させ、倒伏を招きやすくします。倒伏は収量・品質・収穫作業性を低下させるため、適正な施肥が大切です。
Q3.コムギで生育に応じて窒素を追肥する主な目的はどれですか。
- 穂数や子実の充実を高め収量・品質を確保する
- 雑草の発芽をうながして除草を楽にする
- 茎を一気に伸ばして倒伏させやすくする
- 葉の色をわざと薄くして光合成を止める
解説コムギは生育段階に応じた窒素追肥で、穂数の確保や子実の充実、たんぱく含量の調整を図ります。与えすぎは倒伏や病害を招くため適量が重要です。
播種・育苗
Q4.コムギ栽培で行う「麦踏み」の主な目的はどれですか。
- 茎を踏んで分げつを促し、徒長や霜害を防ぐ
- 雑草を踏んで枯らす
- 土を固めて水をためる
- 穂を倒して収穫しやすくする
解説麦踏みは生育初期に株を踏みつける作業で、分げつの促進、徒長の抑制、霜柱による浮き上がり(凍上害)の防止などの効果があります。
Q5.コムギの播種方法として一般的なのはどれですか。
- 条(すじ)状にまく条播で、適正な播種量を守る
- 1粒ずつ手で植え穴に落として植える
- 球根を一定の間隔で土に埋めていく
- 苗を一本ずつ手で移植していく
解説コムギは条(すじ)状にまく条播が一般的で、機械で効率よく播けます。播種量が多すぎると倒伏や病害、少なすぎると収量不足になるため適量が大切です。
病害対策
Q6.コムギの開花期に雨が続くと発生しやすく、カビ毒の原因にもなる病害はどれですか。
- 赤かび病
- 根こぶ病
- 青枯病
- つる割病
解説赤かび病は開花期の多雨で発生しやすく、穂が赤く変色します。デオキシニバレノールなどのカビ毒を生じるため、開花期の適期防除が重要です。
Q7.コムギの葉や茎に、さびのような色の粉状の斑点を生じる病害はどれですか。
- さび病
- 根こぶ病
- 青枯病
- つる割病
解説さび病は葉や茎にさび色の粉状の斑点を生じ、光合成を妨げて収量・品質を下げます。抵抗性品種の利用や適期防除で被害を抑えます。
害虫対策
Q8.コムギの葉や穂について汁を吸う害虫はどれですか。
- 麦類の汁を吸うアブラムシ類
- 花の蜜を集めるミツバチ
- 水面を泳ぐアメンボの仲間
- 土を豊かにするミミズ
解説アブラムシ類はコムギの葉や穂につき汁を吸って生育を弱らせ、ウイルス病を媒介することもあります。発生に応じた防除が必要です。
収穫・品質管理
Q9.コムギの収穫適期として正しいのはどれですか。
- 子実が完熟して乾いた頃にコンバインで収穫する
- 穂が出てすぐの緑色のうちに収穫する
- 子実が発芽してから収穫する
- 開花した直後に収穫する
解説コムギは子実が完熟して水分が下がった頃が収穫適期で、コンバインで収穫します。収穫が遅れると穂発芽や品質低下を招くことがあります。
Q10.コムギの収穫期に長雨が続くと起こり、品質を下げる問題はどれですか。
- 穂についたまま種子が発芽する穂発芽
- 穂が完全に乾いて軽くなること
- 葉が一気に濃い緑色になること
- 根が地上に伸び出してくること
解説収穫期に雨が続くと、穂についたまま子実が発芽する「穂発芽」が起こり、品質が大きく低下します。適期収穫や排水・品種選びで被害を減らします。
温度・環境管理
Q11.日本でのコムギ(冬コムギ)の一般的な作型はどれですか。
- 秋にまいて越冬させ、初夏に収穫する
- 春にまいて真夏に収穫する
- 真夏にまいて秋に収穫する
- 真冬にまいて春に収穫する
解説日本では秋まき・初夏どりの冬コムギが一般的で、水稲の裏作(二毛作)としても作られます。越冬して春に出穂し、初夏に成熟します。
Q12.冬に霜柱で土が持ち上がり、コムギの根が浮いて傷む害はどれですか。
- 霜柱で根が浮く凍上害
- 真夏の高温による日焼け
- 強風で倒れる倒伏の害
- 乾燥による塩類の害
解説凍上害は霜柱で土が持ち上がり、根が浮いて切れたり乾いたりする害です。麦踏みや適度な鎮圧、排水対策などで軽減します。
食品・栄養特性
Q13.小麦粉の用途の違いに最も関係する成分はどれですか。
- たんぱく質(グルテン)の量の違い
- 果実に含まれる糖の量
- 葉に含まれる色素の量
- 根に含まれる水分の量
解説小麦粉はたんぱく質(グルテン)量により、強力粉(パン用・多い)、中力粉(めん用)、薄力粉(菓子用・少ない)に分けられます。品種選びが用途を左右します。
Q14.パン作りに向く小麦粉(強力粉)の特徴として正しいのはどれですか。
- たんぱく質が多く、粘りと弾力が強い
- たんぱく質が少なくふんわり仕上がる
- 糖分が非常に多くて甘みが強い
- 油分が多くしっとりと仕上がる
解説強力粉はたんぱく質(グルテン)が多く、こねると粘りと弾力が出るためパンに向きます。中力粉はめん用、薄力粉は菓子用と用途が分かれます。
後作・輪作適性
Q15.コムギを水稲の裏作として作る「二毛作」の利点はどれですか。
- 同じ農地を一年に二度活用して生産を高められる
- 水稲とコムギが必ず同時に収穫できる
- 肥料も水も一切不要になる
- 連作障害が完全になくなる
解説二毛作は同じ農地で一年に二種類の作物を作る方法です。水稲の収穫後の田でコムギを作ることで、農地と労力を有効に活用できます。
植物生理・基礎
Q16.コムギの分類・利用として正しいのはどれですか。
- イネ科の作物で、子実を製粉して利用する
- マメ科の作物で、莢の豆を利用する
- アブラナ科の作物で、葉を食べる
- ウリ科の作物で、果実を食べる
解説コムギはイネ科の作物で、子実を製粉して小麦粉とし、パンやめん、菓子などに利用します。世界の主要穀物の一つです。
Q17.冬コムギが冬を越して春に穂を出すために関係する性質はどれですか。
- 一定の低温にあうことで出穂が進む性質をもつ
- 低温にあうと必ず枯死する
- 高温がないと一切発芽しない
- 日長とは無関係に一年中出穂する
解説冬コムギは一定期間の低温にあうこと(春化)などを経て、春に気温と日長が変化すると出穂します。秋まきで越冬させる作型と対応しています。
Q18.コムギの収量を構成する主な要素の組み合わせはどれですか。
- 穂数・一穂あたりの粒数・粒の重さ
- 葉の枚数・根の長さ・花の色
- 草丈の高さと茎の太さだけ
- 種まきの深さと畝の幅だけ
解説コムギ(穀物)の収量は、面積あたりの穂数・一穂の粒数・一粒の重さ(粒重)の積で考えます。これらをバランスよく高めることが多収につながります。