緑肥の栽培Q&A・解説

緑肥に関する知識をまとめました。このページでは、緑肥に関する全30問を、正解と解説つきの一問一答で整理しています。緑肥・被覆作物など、栽培の現場や検定対策で役立つ知識を、読み物として確認できます。

Q1.緑肥とはどのような農業資材・植物の利用法を指すか?

  • 収穫せずに圃場ごと土壌に漉き込み、有機物・養分補給を目的として栽培する植物
  • 収穫後に残った茎葉を乾燥・成型して製造する固形有機肥料で、長期貯蔵が可能な施肥資材
  • 家畜糞尿を主原料として高温発酵させ、窒素・リン・カリを均一に含む完熟堆積有機物
  • 植物性残渣と食品廃棄物を嫌気発酵させ、メタンガスと液肥を同時生産するバイオガス原料

解説緑肥は収穫を目的とせず、作付け後に圃場ごと土壌へ漉き込んで有機物・養分の補給に利用する植物のことです。

Q2.マメ科緑肥作物が土壌窒素を高める主な仕組みはどれか?

  • 根に共生する根粒菌が空気中の窒素分子(N₂)を固定し、アンモニア態窒素として植物体に供給する
  • 深根性の根系が下層土の有機態窒素を分解・吸収し、上層土に再分配して養分を地表へ濃縮する
  • 葉面の気孔から大気中の窒素酸化物(NOₓ)を吸収し、光合成過程でアミノ酸に転換して蓄積する
  • 根から分泌するキレート酸が土壌粒子に固定されたアンモニウムイオンを溶脱・移動させ流動化する

解説マメ科植物の根に共生する根粒菌は大気中のN₂を固定し、植物が利用できるアンモニア態窒素に変換します。この固定窒素が漉き込み後に後作への養分となります。

Q3.ヘアリーベッチの主な特性として正しいものはどれか?

  • 耐寒性の高いマメ科越年草で秋播きが可能。蔓性で生育旺盛、窒素固定量が多く春先に大量の有機物を供給できる
  • イネ科の一年草で夏の高温乾燥に強く、根系が深く硬盤層を破砕する効果が高くセンチュウ密度を抑制する
  • 多年生マメ科牧草で再生力が旺盛。刈取りを繰り返すことで窒素固定量が増加し、連作障害を軽減できる
  • シソ科の一年草で春播き専用。精油成分が土壌病原菌を殺菌し、青枯病や立枯病の発生を大幅に抑制する

解説ヘアリーベッチはマメ科の越年草で、秋播き後に越冬して春に旺盛に生育します。窒素固定量が多く、漉き込むと後作への窒素供給源として優れています。

Q4.ソルガム(ソルゴー)を緑肥として利用する主な目的はどれか?

  • 夏の高温乾燥に強く大量の有機物を補給できる。根から分泌されるソルゴリンがネコブセンチュウ等の密度抑制にも効果がある
  • マメ科の根粒菌との共生で窒素固定量が多く、漉き込み後1週間以内に無機態窒素として後作が即座に利用できる
  • 強い耐陰性があり被覆作物として積雪下でも生育を続け、春の融雪直後に大量の有機窒素を土壌に補給できる
  • アレロパシー物質を分泌して雑草の発芽を広範に抑制し、除草剤に頼らない雑草防除を単独で達成できる

解説ソルガムはイネ科の夏緑肥で高温乾燥に強く、多量の有機物を補給します。根から分泌されるソルゴリンがセンチュウ類(特にネコブセンチュウ)の密度抑制に有効です。

Q5.緑肥を土壌に漉き込む適切な時期として一般的に推奨されるのはどれか?

  • 開花始め〜満開期。植物体が柔らかく糖・窒素含量が高いため分解が速く、後作へ養分が速やかに供給される
  • 播種直後(発芽前)。根系が未発達なため漉き込み機械の抵抗が最小限に抑えられ、均一な混和が実現できる
  • 結実・種子成熟期。種子に蓄積された高濃度の窒素・リン酸が土壌中で徐々に溶出し、長期緩効的な施肥となる
  • 枯死・黄化期。植物体の水分が十分低下した後に漉き込むことで嫌気発酵が防がれ、硫化水素発生を回避できる

解説緑肥の漉き込み適期は一般的に開花始め〜満開期です。この時期は茎葉が柔らかく含水率・養分含量ともに高いため、分解が速く後作への養分供給が効率的です。

Q6.非マメ科緑肥(イネ科など)を土壌に漉き込んだ場合に起こりやすい問題はどれか?

  • C/N比が高いため微生物による分解時に無機態窒素が一時的に不足し(窒素飢餓)、後作初期の生育が抑制される
  • 根粒菌が活性化して過剰な窒素固定が起こり、アンモニアガスが揮散して隣接圃場の作物に薬害を与える
  • リン酸溶解菌が急増して土壌のリン酸可給性が過剰に高まり、カルシウムやマグネシウムの吸収が阻害される
  • pH緩衝能が失われて土壌が急激にアルカリ化し、鉄・マンガン・ホウ素の欠乏症状が一斉に発症する

解説イネ科緑肥はC/N比が高く(30以上)、分解時に微生物が土壌の無機態窒素を消費するため、後作初期に窒素飢餓が起こりやすいです。漉き込み後2〜4週間の期間を置くことで対処できます。

Q7.エンバク(オーツ麦)を緑肥として利用する際の主な効果として正しいのはどれか?

  • 根から分泌するアベナシン等の物質がネコブセンチュウ・シストセンチュウの密度を抑制し、連作障害軽減に効果がある
  • 超高温発酵耐性があり、夏の地温50℃超の過酷な条件下でも枯死せず土壌表面を被覆し蒸発散を抑制する
  • 根圏に特殊な窒素固定菌を大量誘引し、マメ科植物と同等以上の窒素を固定・供給して化学肥料を代替できる
  • 葉面から光合成産物の一部を積極的に土壌へ分泌し、土壌有機炭素量を3〜5年で大幅に増加させる代謝を持つ

解説エンバクはイネ科緑肥で、根から分泌されるアベナシン等の物質によりネコブセンチュウやシストセンチュウの密度抑制効果があります。センチュウ対策として活用されます。

Q8.緑肥を漉き込んでから次の作物を作付けするまでに期間を置く主な理由はどれか?

  • 漉き込み直後は嫌気的な分解によりアンモニアガスや有機酸・硫化水素が発生し、作物根に障害を与えるおそれがある
  • 緑肥作物の種子が完全に発芽・展開するまでは後作の定植が物理的に困難であり、種子の死滅を確認する必要がある
  • 漉き込み後の微生物活動で地温が一時的に60℃以上に上昇するため、後作の苗が熱障害を受けないよう冷却が必要
  • 土壌中の有機酸が急速に分解されてpHが一時的に強アルカリ側に上昇するため、石灰散布による中和を待つ必要がある

解説漉き込み直後は嫌気分解によりアンモニア・有機酸・硫化水素が発生し根障害の原因となります。一般的に2〜4週間の待機期間を設けることで分解が進み、安全に後作を植付けできます。

Q9.クリムゾンクローバーの特徴として正しいものはどれか?

  • マメ科の越年草で赤紫色の美しい花穂をもつ。耐寒性があり秋播きで越冬し、春の漉き込みで窒素を土壌に補給する
  • イネ科の一年草で耐暑性が極めて高く、梅雨期から真夏にかけても旺盛に生育して夏場の緑肥として最適に機能する
  • アブラナ科の一年草でグルコシノレート系の揮発性殺菌成分を持ち、土壌くん蒸効果で土壌病害の密度を低下させる
  • 多年生マメ科牧草で根粒菌との共生率が高く、単作でも大規模農地の窒素収支をプラスに転換できる能力を持つ

解説クリムゾンクローバーはマメ科越年草で、濃い赤紫色の美しい花穂が特徴です。秋播きで越冬し春に満開になります。マメ科なので窒素固定能力があり、春の漉き込みで有機物・窒素を補給します。

Q10.施設園芸(ハウス栽培)での緑肥利用の主な目的はどれか?

  • 土壌消毒後に低下した土壌微生物相を回復し、有機物を補給して土壌物理性・化学性・生物性を同時に改善する
  • ハウス内の高CO₂環境を活かして緑肥の光合成速度を倍増させ、露地の3倍以上の乾物重を短期間で生産する
  • ハウスの気密性を利用して緑肥から揮散するエチレンを圃場全体に充満させ、土壌害虫の死滅を図る
  • 灌水チューブと組み合わせて緑肥根系に直接液肥を供給し、遺伝子組換えによる重金属吸収能を活性化させる

解説施設園芸では、くん蒸剤等による土壌消毒後に土壌微生物相が極度に低下します。緑肥を漉き込むことで有機物を補給し、微生物相の回復と土壌物理・化学・生物性の改善が期待できます。

Q11.セスバニアを夏の緑肥として利用する主な理由はどれか?

  • 高温多湿条件への耐性が高いマメ科植物で、梅雨から夏にかけての湿害圃場でも旺盛に生育して窒素を固定できる
  • 根系がトンネル状の大きな孔隙を形成し、降雨量の多い夏季に過剰水分を地下深部まで強制排水できる
  • 葉から分泌するテルペノイド系揮発物が農業用ハウスの白粉病・べと病菌の胞子飛散を夏季全体で高率に抑制する
  • 高温適応型C₅光合成経路を持ち、気温45℃超・地温60℃超の条件下でも最大光合成速度で生育し続ける

解説セスバニアはマメ科の一年草で、高温多湿に強く耐湿性が高いため夏場の緑肥として適しています。湿害が発生しやすい水田転作地や低湿地の土壌改良にも利用されます。

Q12.ライ麦を緑肥として利用した場合に期待される土壌改善効果として最も適切なものはどれか?

  • 深く伸びる根が土壌の物理性を改善し、豊富な地上部バイオマスが漉き込み後の有機物補給源として機能する
  • 特殊な根粒共生菌をイネ科植物として唯一持ち、マメ科と同水準の窒素固定量で土壌窒素を急速に高める
  • 根から分泌する強力なキレート酸が土壌中の重金属を溶解し、連続3作でカドミウム・鉛汚染を大幅に浄化する
  • 高濃度のフィトステロールを地上部全体に蓄積し、漉き込み後に土壌全体をシリカゲル状に固化して崩壊を防ぐ

解説ライ麦は根系が発達して土壌物理性(排水性・通気性)を改善し、地上部の豊富なバイオマスが漉き込み後の有機物・炭素補給源となります。非マメ科なので窒素固定はしません。

Q13.緑肥を使った輪作体系での主なメリットはどれか?

  • 同一科の作物を連作することで生じる土壌病害虫の密度上昇を抑制し、後作の収量・品質安定に寄与する
  • 緑肥作物の根系に含まれる抗生物質が土壌全体に拡散し、すべての微生物を一時的に死滅させて更新を促す
  • 緑肥の漉き込みで土壌のECを一定値に固定し、養水分管理の自動化・省力化を実現できる
  • 異なる緑肥を毎年切り替えることで根粒菌の種類が多様化し、窒素固定総量が幾何級数的に増加する

解説緑肥を組み込んだ輪作は、特定の土壌病害虫(連作障害の原因となる糸状菌・線虫等)の密度を低下させ、後作の生育安定・収量向上に役立ちます。

Q14.ヘアリーベッチ1作(10a)当たりの窒素固定量の目安として最も適切なものはどれか?

  • 10〜20kg程度(窒素換算)。これは化学肥料の窒素20〜40kg相当に相当し、後作への施肥量を大幅に削減できる
  • 100〜200kg程度(窒素換算)。施設栽培では年間を通じて連続固定が可能で、追肥が一切不要になる
  • 0.1〜1kg程度(窒素換算)。固定量はわずかで主な効果は土壌物理性改善であり、施肥への代替は現実的でない
  • 500kg以上(窒素換算)。超高密度播種と炭酸ガス施用を組み合わせれば、施設面積1a当たりでも達成できる

解説ヘアリーベッチの窒素固定量は10a当たり10〜20kg程度と言われます。化学肥料に換算すると相当量であり、後作の窒素施肥量を削減できます。ただし品種・気象条件により変動します。

Q15.緑肥の有機農業における位置づけとして最も正しいのはどれか?

  • 化学肥料・農薬に頼らない土壌づくりの中心的手段。土壌有機物補給・窒素固定・病虫害抑制を総合的に達成できる
  • 有機農業では緑肥の使用は禁止されており、認証規格では必ず外部から搬入した有機堆肥のみを使用する義務がある
  • 緑肥作物はGMO品種のみが流通しており、有機認証では品種を問わず使用が認められていない現状がある
  • 有機農業では緑肥漉き込み後に必ず市販の菌体資材を追加接種しなければならず、単独での改善効果はない

解説有機農業において緑肥は、化学肥料や農薬に代わる土壌づくりの重要な手段です。土壌への有機物補給・窒素固定・土壌病害虫密度の抑制など複合的な効果が期待できます。

Q16.緑肥と堆肥の主な違いはどれか?

  • 堆肥は事前に発酵・分解して安定化した有機物。緑肥は生のままの植物体を圃場で直接漉き込む未発酵有機物
  • 堆肥は圃場内で栽培して漉き込む植物体。緑肥は農場外の家畜糞尿を原料として製造した完熟有機物資材
  • 緑肥は施設内でのみ利用でき、露地栽培では農地法上の利用が制限される。堆肥は露地・施設どちらでも使用可能
  • 堆肥はC/N比5以下に完熟させた即効性資材。緑肥はC/N比200以上の難分解性有機物で効果発現に数十年かかる

解説堆肥は有機物を事前に発酵・分解して安定化(腐熟)させた資材です。緑肥は栽培した植物体を生のまま(未発酵)で圃場に漉き込みます。どちらも有機物補給ですが製造・利用の形態が異なります。

Q17.緑肥の漉き込み深度として一般的に推奨されるのはどれか?

  • 20〜30cm程度。耕起層全体に有機物が混和されることで土壌物理性・生物性改善効果が広く発揮される
  • 地表から3〜5cm程度。浅い漉き込みにより嫌気分解が回避され、翌日から後作の定植が可能となる
  • 50〜60cm以上の深耕が必要。根系を完全に破壊するためには重機による深耕が不可欠で手作業での達成は不可能
  • 漉き込み深度は0cmが理想で、地表に放置して風化・乾燥分解させた後に降雨で自然に土壌へ溶け込ませる

解説緑肥の漉き込みは一般に耕起深度(20〜30cm程度)で行います。耕起層全体に有機物が混和されることで、土壌の物理・化学・生物性の改善効果が十分に発揮されます。

Q18.「バイオフュミゲーション」に利用する作物の主なメカニズムはどれか?

  • アブラナ科植物(カラシナ等)を漉き込む際に、グルコシノレートが加水分解されてイソチオシアネートが発生し土壌病害虫を抑制する
  • マメ科緑肥が固定した窒素がアンモニアガスとして一斉に揮散し、土壌中の有害菌の細胞壁を溶解して死滅させる
  • イネ科緑肥の根から分泌されるエチレンガスが土壌中に充満し、センチュウの卵を窒息死させて次世代の発生を抑える
  • 高糖度の地上部バイオマスが嫌気分解してメタンガスを大量発生させ、高圧のガスで土壌病原菌の細胞を破壊する

解説バイオフュミゲーションはアブラナ科植物(カラシナ等)を漉き込む際に、グルコシノレートが酵素分解されてイソチオシアネートが発生し、これが土壌病害虫を抑制するメカニズムです。

Q19.カバークロップ(被覆緑肥)の主な効果として最も適切なものはどれか?

  • 圃場表面を被覆して土壌侵食・雑草発生を抑制し、土壌水分保持と表層土壌の保護を同時に達成する
  • 被覆により土壌温度が常時20℃以上に保たれ、冬期でも微生物が活発に活動して土壌有機物を全量分解できる
  • 被覆作物の根が土壌を全面的にコーティングし、降雨時に雨滴が土壌に触れることを完全に遮断できる
  • 被覆作物の地上部を放置すると10年以内に圃場全体が森林化して耕作放棄地の回復に役立つ

解説カバークロップは圃場表面を覆うことで、①雨滴による表土侵食の防止、②雑草の発生抑制、③土壌水分の蒸発抑制、④表層土壌の保護など複数の効果を発揮します。

Q20.緑肥の景観利用として代表的な活用例はどれか?

  • 休耕田や農地の景観作物として活用。コスモス・ヒマワリ・クリムゾンクローバー等を植栽し観光・教育資源としても機能する
  • 緑肥作物をすべての農地で義務的に栽培させる法制度が整備されており、景観目的での栽培は副次的効果にすぎない
  • 景観用緑肥は花色が均一な純粋培養品種のみが認可されており、在来種・在地品種は景観保全上使用禁止となっている
  • 緑肥の景観利用は施設・温室内での鑑賞用栽培に限定されており、露地での景観活用は農地法上の農業的利用とみなされない

解説緑肥は休耕農地の景観維持・活用にも用いられます。コスモスやヒマワリ、クリムゾンクローバーなどを植えて景観を形成し、農業の多面的機能として地域の観光振興や農業教育にも活用されます。

Q21.緑肥作物のC/N比が低い(20以下)場合に漉き込み後に期待できる効果はどれですか。

  • 有機物が分解されにくく長期間土壌に残留する
  • 分解が速く短期間で無機態窒素として後作に供給される
  • C/N比が低いほど土壌微生物の活動が抑制される
  • 窒素が揮散してしまい後作への供給量が減少する

解説C/N比が低い(窒素を多く含む)植物体は微生物に分解されやすく、漉き込み後比較的早期に無機態窒素として後作に供給されます。マメ科緑肥はC/N比が低めのものが多いです。

Q22.ファセリア(ハゼリソウ)を緑肥として利用する主なメリットはどれですか。

  • 耐寒性が低く夏専用の高温適応型緑肥として機能する
  • ミツバチを誘引しやすく、天敵昆虫の生息環境づくりにも活用できる
  • イネ科に属し大量の有機物と窒素固定を同時に達成できる
  • 塩分に強く干拓地など塩類集積土壌の改良に最適な作物である

解説ファセリアは美しい青紫色の花を咲かせ、ミツバチや天敵昆虫の蜜源・生息場所となります。IPMの観点から天敵昆虫を圃場近くに引き寄せる効果が期待できます。

Q23.水田跡地(転換畑)で緑肥を活用する主な目的はどれですか。

  • 水田の湛水条件を再現して嫌気性微生物を活性化するため
  • 余剰水分の排水促進と有機物補給による土壌物理性の改善のため
  • 水稲用の根粒菌を定着させて窒素固定を開始させるため
  • 水田に残った農薬成分を緑肥が吸収して無害化するため

解説水田転換畑は粘土質・排水不良になりやすいため、根系の発達した緑肥を栽培することで土壌通気性・排水性を高め、有機物を補給して畑作に適した土壌に改善することが目的です。

Q24.緑肥作物を選ぶ際に最初に確認すべき要因として最も重要なのはどれですか。

  • 緑肥の種子価格が最安値か
  • 作付けする季節・気候と圃場の目標(窒素補給か土壌改良かセンチュウ対策か)
  • 緑肥の地上部がどれだけ食用として利用できるか
  • 緑肥の花の色が圃場の景観計画と一致するか

解説緑肥選択では、作付け時期(夏・冬など)の気候への適応性と、主な目的(窒素補給・有機物補給・センチュウ対策・排水改善など)を最初に整理することが重要です。目的に合った科・品種を選びます。

Q25.ナギナタガヤを草生栽培(生きたマルチ)として果樹園に利用する主な目的はどれですか。

  • 果樹の根に養分を直接供給して高収量を実現するため
  • 草生によって圃場表面を被覆し、土壌侵食と雑草繁茂を抑制するため
  • ナギナタガヤの根が硬盤を破砕して深根性果樹の根張りを助けるため
  • 果樹の病害をナギナタガヤから分泌される物質で殺菌するため

解説ナギナタガヤはイネ科の草生植物で、成長が低く管理しやすいため果樹園の草生栽培に利用されます。土壌侵食の防止・雑草抑制・有機物補給・土壌生物多様性の維持が主な目的です。

Q26.緑肥の地力増進作物としての法律上の扱いとして正しいのはどれですか。

  • 農薬取締法により農薬として登録が必要
  • 地力増進法に基づく地力増進基本指針の中で活用が奨励されている
  • 種苗法により品種登録が義務づけられている
  • 食品衛生法の対象となり食品検査が必要

解説日本では地力増進法に基づく地力増進基本指針において、緑肥作物の活用が土壌有機物補給・地力維持の手段として位置づけられています。

Q27.センチュウ対策として複数の緑肥を組み合わせて利用する際の基本的な考え方はどれですか。

  • どの緑肥も同じセンチュウに効果があるため組み合わせに意味はない
  • 作物ごとに効果的なセンチュウ種が異なるため、問題のセンチュウ種に応じた作物を選ぶ
  • センチュウは緑肥の漉き込み直後にすべて死滅するため1作で完全防除できる
  • センチュウ対策にはマメ科緑肥のみが有効でイネ科には効果がない

解説センチュウには種類(ネコブセンチュウ・シストセンチュウなど)があり、有効な緑肥作物も異なります。例えばエンバクやソルガムはネコブセンチュウに、ダイコンや特定品種のマリーゴールドなどが他の種に効果的です。

Q28.緑肥を漉き込んだ直後に嫌気的な環境になった場合に発生しやすい問題はどれですか。

  • 土壌pH が急激に上昇して石灰過剰障害が起きる
  • 硫化水素や有機酸が発生して根に障害を与える
  • 窒素ガスが大量に発生して圃場の酸素を奪う
  • 土壌温度が60℃以上に上昇して有用微生物が死滅する

解説漉き込んだ緑肥が嫌気状態で分解されると、硫化水素・有機酸(酢酸など)が発生します。これらは植物根に直接的な障害を与えるため、漉き込み後は適度な耕起・通気確保と待機期間が必要です。

Q29.緑肥を使った有機農業体系で「窒素収支をプラスにする」ために最も有効な方法はどれですか。

  • イネ科緑肥を年3回以上栽培して大量の有機物を補給する
  • マメ科緑肥を輪作に組み込み、窒素固定で系外からの窒素投入量を確保する
  • 播種量を最大にして地上部のバイオマスを増やす
  • 緑肥収穫後に残った根のみを土壌に残して地上部は持ち出す

解説マメ科緑肥の根粒菌は大気中の窒素を固定(系外から窒素を取り込む)します。これにより農業システム全体の窒素収支をプラスに保ちながら化学肥料への依存を減らすことができます。

Q30.緑肥を栽培している際に雑草と競合しやすい時期はどれですか。

  • 生育が旺盛になり植被率が100%近くになった時期
  • 播種直後の発芽・初期生育の時期
  • 最盛期を過ぎて株が老化し始めた時期
  • 漉き込みの前日に地上部を刈り取った直後

解説緑肥作物は播種直後の発芽・初期生育期に植被率が低く、この時期に雑草が発生しやすいです。播種量の確保・適切な播種時期の選択・初期の土壌被覆により雑草競合を減らします。