イネ(稲)の栽培Q&A・解説
イネ(稲)はイネ科に分類される作物です。このページでは、イネ(稲)に関する全20問を、正解と解説つきの一問一答で整理しています。土壌・施肥管理・播種・育苗・かん水・養水分管理・病害対策・害虫対策など、栽培の現場や検定対策で役立つ知識を、読み物として確認できます。
イネ(稲)とは — 栽培の基礎知識
イネは中国長江流域を起源とするとされるイネ科の作物で、日本人の主食である米を生産する、日本農業の根幹をなす作物です。水を張った水田で育てる水稲が日本では中心で、水管理と組み合わせた栽培体系、水田がもつ連作を可能にする特性など、他の畑作物にはない独自の農業技術が発達してきました。
栽培は育苗箱で苗を育て、代かきをした水田に機械で移植する移植栽培が主流です。生育段階に応じて水深を変える水管理が極めて重要で、活着を促す深水、分げつを促す浅水、無効分げつを抑える中干し、そして登熟期の間断かんがいなど、時期ごとに使い分けます。肥料は元肥・分げつ肥・穂肥と生育に合わせて施します。
いもち病・紋枯病・カメムシ類(斑点米の原因)・ウンカ類などが主な障害です。近年は高温登熟による品質低下(白未熟粒)も課題となっています。以下のQ&Aで、育苗・田植え・水管理・施肥・病害虫・収穫まで、稲作の要点を体系的に学べます。
土壌・施肥管理
Q1.イネで窒素肥料が多すぎたときに起こりやすい問題はどれですか。
- 茎葉が茂りすぎて倒伏し、いもち病も出やすくなる
- 米の粒が極端に大きくなりすぎる
- 分げつがまったく出なくなる
- 根だけが過剰に肥大する
解説窒素過多はイネを軟弱徒長させ、倒伏やいもち病の発生を助長します。元肥と穂肥のバランスをとり、適正な施肥量にすることが大切です。
Q2.イネの「穂肥(ほごえ)」の役割として正しいのはどれですか。
- 出穂前に施し、籾数の確保や登熟を高める
- 田植え前に一度だけ施す元肥のこと
- 収穫後の田に施す肥料のこと
- 雑草を枯らすために施す薬剤のこと
解説穂肥は幼穂が育つ出穂前の時期に施す追肥で、籾数の確保や登熟の充実をねらいます。施す時期と量の判断が収量・品質を左右します。
Q3.水田の雑草対策として重要な考え方はどれですか。
- 生育初期の早い段階で抑え、雑草との競合を防ぐ
- 雑草が大きく育ってから一度だけ抜き取る
- 雑草は稲の栄養になるので放置するとよい
- 収穫の直前にまとめて除草するのが効果的
解説ノビエ(ヒエ)など水田雑草は、生育初期に稲と養分・光を奪い合います。初期にしっかり抑えることが、収量低下を防ぐうえで重要です。
播種・育苗
Q4.日本の水稲栽培で広く行われている育て方はどれですか。
- 苗を育ててから田に植える移植(田植え)栽培
- 種もみを一粒ずつ手で挿す栽培
- 球根を植える栽培
- つるを挿し木する栽培
解説日本では育苗した苗を田に移植する「田植え」栽培が広く行われます。近年は種もみを直接まく直播栽培も省力化のため取り入れられています。
Q5.田植え前に行う「代かき」の主な目的はどれですか。
- 田の表面を平らにならし、漏水や雑草を抑える
- 稲を刈り取って脱穀しやすいよう準備する
- 収穫した籾を乾燥させて貯蔵に備える
- 畑の土を高く盛り上げて水はけをよくする
解説代かきは湛水した田の土をかき混ぜて平らにならす作業です。表面の均平化で水管理がしやすくなり、漏水防止や雑草の埋め込みにも役立ちます。
Q6.水稲の育苗で目指す「よい苗」の状態として適切なのはどれですか。
- 葉数や根がそろい、徒長していない健全な苗
- できるだけ細長く徒長させて伸ばした苗
- 葉が黄色く枯れ込んで弱っている苗
- 根がほとんど張っていない小さすぎる苗
解説健全な苗は葉数・根張りがそろい、徒長していないものです。よい苗は田植え後の活着がよく、その後の生育・収量を安定させます。
Q7.苗を作らず種もみを直接まく「直播栽培」の特徴として正しいのはどれですか。
- 育苗・田植えの手間を省けるが倒伏に注意が必要
- 苗を育てる期間が移植よりも長くかかる
- 必ず移植栽培よりも収量が二倍に増える
- 水をまったく張らず畑のように育てる
解説直播栽培は育苗・田植えの労力を省ける省力技術です。一方で苗立ちの確保や、根が浅くなりやすく倒伏しやすい点などに注意が必要です。
かん水・養水分管理
Q8.水稲の「中干し」を行う主な目的として正しいのはどれですか。
- 余分な分げつを抑え、根に酸素を送り倒伏を防ぐため
- 雑草の種をすべて発芽させるため
- 田の水温を下げて開花を止めるため
- 肥料を一度に大量に効かせるため
解説中干しは生育途中に一時的に水を抜いて田を干す作業です。無効分げつを抑え、土中に酸素を入れて根を健全にし、倒伏を防ぐなどの効果があります。
Q9.水稲の水管理について正しいのはどれですか。
- 出穂期前後は水を必要とし、極端な水不足を避ける
- 出穂期は完全に水を切らして乾かす
- 全生育期間まったく水を入れない
- 収穫直前まで深水を保ち続ける
解説出穂・開花期は水を多く必要とする時期で、水不足は受精不良や不稔の原因になります。生育段階に応じた水管理(湛水・中干し・間断灌漑・落水)が重要です。
病害対策
Q10.イネで低温・多湿のときに発生しやすく、葉や穂に病斑を生じる代表的な病害はどれですか。
- いもち病
- うどんこ病
- 根こぶ病
- つる割病
解説いもち病は糸状菌による病害で、低温・多湿や窒素過多で発生しやすくなります。葉いもち・穂いもちがあり、穂いもちは収量・品質に大きく影響します。
Q11.イネの株元の葉鞘などに発生し、高温多湿で広がる病害はどれですか。
- 紋枯病
- うどんこ病
- 根こぶ病
- つる割病
解説紋枯病は株元の葉鞘などに雲形の病斑を生じ、高温多湿で上位へ広がります。過繁茂や窒素過多で発生しやすく、適切な水・肥培管理と防除で抑えます。
害虫対策
Q12.イネの穂を加害し、米に黒い斑点(斑点米)を生じさせる害虫はどれですか。
- カメムシ類
- テントウムシ
- ミツバチ
- アメンボ
解説カメムシ類は登熟期の米を吸汁し、黒く変色した斑点米を生じさせます。斑点米は品質を下げるため、出穂期前後の畦畔管理や防除が重要です。
Q13.イネの茎から汁を吸い、被害が進むと部分的に枯れる「坪枯れ」を起こす害虫はどれですか。
- イネの汁を吸うウンカ類
- 花の蜜を集めるミツバチ
- アブラムシを食べるテントウムシ
- 水面を泳ぐアメンボの仲間
解説ウンカ類はイネの茎から吸汁し、多発すると一部がまとまって枯れる「坪枯れ」を起こします。海外から飛来することもあり、早期の発見と防除が重要です。
Q14.水田で植えたばかりの稲の苗を食害する外来の貝はどれですか。
- スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)
- 土を掘り返すモグラの仲間
- 土を豊かにするミミズの仲間
- 害虫を食べるテントウムシ
解説スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は植えたばかりの柔らかい苗を食害します。水深を浅く保つなどの管理や捕殺・薬剤で被害を抑えます。
収穫・品質管理
Q15.水稲の収穫適期と収穫後の扱いとして正しいのはどれですか。
- 登熟が進んで籾が黄金色になった頃に収穫する
- 穂が出てすぐの緑色で柔らかいうちに刈る
- 籾が完全に発芽してしまってから刈る
- 刈り取り後そのまま湿った状態で貯蔵する
解説登熟が進んで籾が黄金色(黄熟期)になった頃が収穫適期です。収穫後は適正な水分まで乾燥し、籾すり・調製を行って貯蔵します。
Q16.収穫した籾を急に強く乾燥させたときに起こりやすい問題はどれですか。
- 米粒にひびが入る「胴割れ」が起きる
- 米粒が大きくふくらんで割れる
- 籾から芽が出て緑色に変わる
- 米の色が赤く変色してしまう
解説急激・過度な乾燥は米粒にひびが入る「胴割れ」を招き、品質や食味を落とします。適切な温度・速度でゆっくり乾燥させることが大切です。
温度・環境管理
Q17.イネの「冷害」について正しいのはどれですか。
- 低温で受精が妨げられ、不稔が増えて減収する
- 高温が続けば続くほど必ず豊作になる
- 低温になるほど米の粒が大きくなる
- 気温は収量にまったく影響を与えない
解説とくに幼穂形成〜開花期の低温は花粉の障害を招き、不稔籾が増えて減収します(冷害)。深水管理などで幼穂を低温から守る対策がとられます。
食品・栄養特性
Q18.うるち米ともち米の主な違いに関係する成分はどれですか。
- デンプンに含まれるアミロースの割合
- 果実に含まれるカフェインの量
- 葉に含まれるシュウ酸の量
- 根に含まれる硝酸の量
解説うるち米ともち米の違いは主にデンプン中のアミロースの割合です。もち米はアミロースをほとんど含まずアミロペクチン主体で、強い粘りが出ます。
植物生理・基礎
Q19.イネ(水稲)の分類・利用として正しいのはどれですか。
- イネ科の作物で、子実(米)を主食として利用する
- マメ科の作物で、莢の豆を利用する
- アブラナ科の作物で、葉を食べる
- ナス科の作物で、果実を食べる
解説イネはイネ科の一年生作物で、子実である米を主食として利用します。水を張った水田で育てる水稲が日本では一般的です。
Q20.イネの「分げつ」とは何を指しますか。
- 株もとから新しい茎が次々に増えていくこと
- 穂が左右に枝分かれすること
- 根が地中で養分をためること
- 葉が黄色く枯れていくこと
解説分げつは株もとの節から新しい茎(分げつ茎)が増えていく現象です。分げつの数が穂数、ひいては収量に影響します。