栄養素・土壌生物の栽培Q&A・解説
栄養素・土壌生物に関する知識をまとめました。このページでは、栄養素・土壌生物に関する全29問を、正解と解説つきの一問一答で整理しています。土壌・施肥管理・植物生理・基礎など、栽培の現場や検定対策で役立つ知識を、読み物として確認できます。
土壌・施肥管理
Q1.土壌pHが植物の養分吸収に与える影響として正しいものはどれか?
- pH 6.0〜6.5程度が多くの野菜で最適。酸性に傾くとAl・Mn毒性と養分固定が増し、アルカリ側ではFe・B・Mnの不溶化が進む
- pH値は養分の可給性に影響せず、土壌温度と水分量のみが養分の溶解・吸収速度を決定する唯一の環境要因である
- pH 4.0以下の強酸性では全養分の可給性が最大化し、すべての必須元素が溶解・吸収可能な理想的な状態になる
- pH 8.5以上の強アルカリでは土壌細菌が完全に死滅するため、有機物分解が停止して養分の無機化が全面的に抑制される
解説土壌pHは養分の可給性に大きく影響します。多くの野菜の適正pHは6.0〜6.5程度で、酸性ではAl・Mn毒性・リン酸固定が問題になり、アルカリ性ではFe・B・Znなどの微量元素が不溶化して欠乏症が起きやすくなります。
Q2.根粒菌(Rhizobium属など)の主な農業的役割はどれか?
- マメ科植物の根に共生して窒素固定を行い、大気中のN₂を植物が利用できるNH₄⁺(アンモニウムイオン)に変換する
- 土壌中のリン酸を可溶化する酵素(フィターゼ)を分泌し、土壌に固定されたリン酸を作物が吸収しやすい形に変える
- 植物根の表皮細胞に侵入してコルテックス層を菌糸で覆い、水分・養分の吸収面積を数十倍に拡大する外生菌根を形成する
- 土壌有機物を完全分解してCO₂と水に変換する最終分解者として機能し、土壌炭素量を持続的に更新する
解説根粒菌はマメ科植物の根に感染して根粒を形成し、大気中のN₂をNH₄⁺に還元する「窒素固定」を行います。植物は固定された窒素を有機窒素として利用し、根粒菌は植物から光合成産物(糖)を受け取る共生関係です。
Q3.AM菌根菌(アーバスキュラー菌根菌)が作物にもたらす主な効果はどれか?
- 根の吸収表面積を大幅に拡大して難溶性リン酸の吸収を促進し、干ばつ耐性・病害抵抗性・重金属耐性も向上させる
- 根の維管束内に菌糸を張りめぐらせて道管を閉塞し、作物の蒸散量を80%以上削減して究極の節水栽培を実現する
- 葉面の気孔細胞に侵入して光合成速度を3〜5倍に高め、同化産物の生産量を増大させることで収穫量を倍増させる
- 植物ホルモン(オーキシン)を大量産生して根端分裂組織を抑制し、根の伸長を止めて養水分吸収を根毛のみに集中させる
解説AM菌根菌は根の外部に菌糸ネットワークを形成して吸収表面積を大幅に拡大し、特に難溶性リン酸の吸収を促進します。また干ばつ耐性・病原菌抵抗性・重金属耐性の向上など多面的な効果があります。
Q4.硝化作用とはどのような微生物的プロセスを指すか?
- 土壌中のアンモニウムイオン(NH₄⁺)が硝化細菌(Nitrosomonas→Nitrobacter等)によって亜硝酸・硝酸イオン(NO₃⁻)に酸化される過程
- 硝酸イオン(NO₃⁻)が嫌気性細菌によってN₂・N₂Oガスに還元されて大気中に放出される脱窒プロセス
- 大気中の窒素ガス(N₂)が根粒菌・固定菌によってアンモニア(NH₃)に変換されて土壌に取り込まれる窒素固定反応
- 土壌有機物中のタンパク質・核酸が細菌・真菌によって分解されてアンモニウムイオンが遊離するアンモニア化成の過程
解説硝化作用は、NH₄⁺→NO₂⁻(Nitrosomonas属による亜硝酸化)→NO₃⁻(Nitrobacter属による硝酸化)という2段階の微生物的酸化反応です。好気的条件で進行し、NO₃⁻は溶脱しやすいため過剰施肥は地下水汚染の原因となります。
Q5.土壌有機物(腐植)が農業生産に果たす役割として最も包括的に正しいものはどれか?
- 土壌の保肥力(CEC)・保水性・団粒構造の維持と、微生物の活性化・養分の緩効的供給・pH緩衝能の向上に寄与する
- 土壌有機物はリン酸・カリウムの固定能を低下させる作用のみを持ち、窒素と炭素の循環には直接関与しない
- 腐植は土壌中で急速に分解してCO₂を大量放出するため、温室効果ガスの増加をもたらす農業上の負の要因である
- 有機物が多い土壌は通気性が失われて嫌気的になり、有害な嫌気性微生物が繁殖して連作障害が必ず悪化する
解説土壌有機物(腐植)は①陽イオン交換容量(CEC)の向上による保肥力強化、②保水性の向上、③団粒構造の形成による通気・排水性改善、④微生物の活性化、⑤養分の緩慢な放出、⑥pH緩衝能の向上など多面的な機能を持ちます。
Q6.EC(電気伝導度)が高い土壌が植物に与える主な悪影響はどれか?
- 土壌溶液の塩類濃度が高まって浸透圧が上昇し、植物根が水分を吸収できなくなる浸透圧障害(塩類障害)が発生する
- EC上昇は土壌pHを強アルカリ性に変化させ、根細胞のタンパク質が変性して細胞死が連鎖的に起こる毒性障害
- ECが高いと土壌中の全微生物が死滅し、養分の無機化が止まって植物は施用した肥料を全量吸収できなくなる
- 電気伝導度の上昇で土壌粒子が正に帯電し、根毛の細胞壁と土壌粒子が強力に接合して根の伸長が物理的に阻害される
解説ECは土壌溶液中のイオン(塩類)濃度の指標です。ECが高くなると土壌溶液の浸透圧が上昇し、植物根が水分を吸収できない「生理的干ばつ」(塩類障害)が起こります。施設栽培での肥料の蓄積が主な原因です。
Q7.土壌中でリン酸が固定(吸着)されやすい条件はどれか?
- 酸性土壌ではAl・Feとの難溶性塩形成、アルカリ土壌ではCaとの沈殿形成。pH 6.0〜7.0が最も可給性が高い
- 中性〜弱アルカリ性(pH 7〜8)でリン酸の固定が最大化し、pH 4以下の強酸性土壌では全リン酸が溶解・可給状態になる
- 有機物含量が高い土壌ほどリン酸の固定量が増大し、腐植とリン酸が化学結合することで完全に不溶化される
- 土壌中の微生物数が多いほどリン酸は生物的に固定されて植物には全く吸収されず、微生物の死滅後にのみ放出される
解説リン酸は酸性土壌でAl³⁺・Fe²⁺/³⁺と難溶性リン酸塩を形成し、アルカリ土壌ではCa²⁺と沈殿します。pH 6.0〜7.0の中性付近が最もリン酸の可給性が高く、土壌pH管理はリン酸肥効にとっても重要です。
Q8.陽イオン交換容量(CEC)とは何を示す指標か?
- 土壌が保持できる交換性陽イオン(Ca²⁺・Mg²⁺・K⁺・NH₄⁺等)の最大量。CEC が高い土壌ほど保肥力が高い
- 土壌溶液中のプロトン(H⁺)濃度を対数で表した値で、酸性・アルカリ性の強さを示すpHの別名称
- 単位時間・単位面積当たりの土壌からの養分溶出速度で、施肥設計の肥効係数計算に使用される指標
- 土壌粒子間の間隙(孔隙)の体積比を示す指標で、透水性・通気性・保水性の物理的性質を総合的に表す
解説CECは土壌の保肥力を示す指標で、単位はcmol(+)/kg(旧meq/100g)で表します。粘土鉱物や腐植が多い土壌ほどCECが高く、施した陽イオン肥料(Ca・Mg・K・NH₄等)を保持しやすくなります。
Q9.土壌の緩衝能とはどのような性質か、また農業管理上の意義はどれか?
- 土壌がpHや養分濃度の急激な変化を抑制する性質。CEC・有機物・炭酸塩含量が高いと緩衝能が強く、施肥の過不足に対して安定的な生育環境が維持される
- 土壌が大雨時に過剰な水分を瞬時に蒸発させる能力。粘土含量が高いほど緩衝能が大きく、豪雨でも圃場が飽水状態にならない
- 土壌が太陽放射を蓄積して夜間に放熱する熱容量。土壌の緩衝能が高いほど地温の日変動が小さく早朝の根域温度が高く保たれる
- 土壌粒子が電磁波を吸収・反射する能力で、緩衝能の高い土壌は農業用ドローンのGPS精度を向上させる誘電特性を持つ
解説土壌の緩衝能とは外的変化(酸の添加・肥料施用など)に対してpHや養分濃度が急変するのを抑制する性質です。有機物・粘土・炭酸塩が多いと緩衝能が高く、施肥ミスや酸性雨に対しても安定した環境を維持できます。
Q10.硝化作用とはどのような微生物反応ですか。
- 嫌気性微生物が硝酸態窒素を窒素ガスに変換して大気に放出する反応
- 好気性細菌(硝化菌)がアンモニア態窒素を亜硝酸・硝酸態窒素に酸化する反応
- マメ科根粒菌が大気中の窒素をアンモニアに固定する反応
- 土壌微生物がタンパク質を分解してアンモニアを生成する反応
解説硝化作用は好気性の硝化菌(アンモニア酸化菌・亜硝酸酸化菌)が関与し、アンモニア態窒素(NH₄⁺)を亜硝酸を経て硝酸態窒素(NO₃⁻)に変換します。硝酸態窒素は水に流れやすく、過剰な硝化は溶脱損失の原因になります。
Q11.土壌が酸性になると養分の吸収に起きる主な変化はどれですか。
- すべての養分が溶け出して過剰吸収になる
- カルシウム・マグネシウムの可給性が低下し、アルミニウム・マンガンの溶出が増える
- 窒素だけが不溶化して欠乏になる
- リン酸が急激に増加してリン過剰障害になる
解説土壌が酸性に傾くとCa・Mgのイオンが溶脱して欠乏しやすくなります。また有害なアルミニウムイオン(Al³⁺)やマンガンの過剰溶出が起き、根への障害が生じます。石灰施用でpHを矯正することが重要です。
Q12.アーバスキュラー菌根菌(AM菌根菌)が植物に与える主な恩恵はどれですか。
- 大気中の窒素を固定して植物に供給する
- 菌糸が土壌に広がりリン酸や微量元素の吸収を助ける
- 病原菌を直接殺菌して根の感染を防ぐ
- 光合成産物を根圏微生物に分配して土壌を肥沃にする
解説AM菌根菌は根の外に菌糸を伸ばして植物の根の吸収範囲を大幅に広げます。特にリン酸・亜鉛・銅などの移動性の低い養分の吸収促進に効果的です。多くの野菜・果樹と共生します。
Q13.土壌団粒構造の発達がもたらす主なメリットはどれですか。
- 団粒構造が発達するほど土壌pHが下がり酸性になる
- 通気性・保水性・排水性のバランスが良くなり作物の根が張りやすくなる
- 土壌が固まって侵食されにくくなるが根の伸長は困難になる
- 微生物が減少して病原菌の繁殖が抑制される
解説団粒構造(小さな土の塊が集まった構造)が発達すると、大孔隙(通気・排水)と小孔隙(保水)がバランスよく存在し、根が伸長しやすく水はけと保水性を両立した理想的な土壌になります。
Q14.土壌有機物(腐植)が土壌に与える主な効果として正しいのはどれですか。
- 有機物が多いほど土壌pHが下がり酸性が強くなる
- 団粒形成・保水性・保肥力・土壌生物の餌として土壌の総合的な機能を高める
- 有機物が多いと除草剤の効果が増強される
- 有機物は土壌温度を低下させて病原菌の繁殖を抑制する
解説腐植(有機物)は土壌の団粒化促進・保水力・陽イオン交換容量(CEC)の向上に貢献します。また土壌微生物の餌となり生物性を高め、窒素・リン酸などの養分を緩効的に供給します。
植物生理・基礎
Q15.植物の多量必須元素のうち「三要素」と呼ばれるものはどれか?
- 窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)。肥料の主成分であり、欠乏すると植物の生育に著しい障害が生じる
- 炭素(C)・水素(H)・酸素(O)。植物が光合成と水分吸収で獲得する元素で、大気・水から無限に供給される
- カルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)・硫黄(S)。石灰・苦土・硫黄質肥料として施用する中量必須元素
- 鉄(Fe)・マンガン(Mn)・亜鉛(Zn)。微量元素の中でも欠乏が頻繁に発生する「微量三要素」と呼ばれる
解説植物の三要素は窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)です。肥料の主成分として最も重要で、化学肥料の成分表示でも「N-P-K」の順で表されます。
Q16.窒素(N)の植物体内での主な役割として正しいものはどれか?
- タンパク質・クロロフィル・核酸の構成成分として、細胞の増殖・生長と光合成能力に直接関わる最重要元素
- 細胞壁中のペクチン・カルシウムペクテートの構成成分として細胞同士の接着を保ち、組織の崩壊を防ぐ
- 気孔の開閉を調節するKポンプを駆動し、水分の蒸散・CO₂吸収のバランスを制御する浸透圧調整元素
- フィトクロムの発色団に含まれ、光の方向・波長を感知して花芽分化の日長反応を制御する光感受性元素
解説窒素はタンパク質・クロロフィル(葉緑素)・核酸(DNA・RNA)の構成元素です。細胞の増殖・生長・光合成に不可欠で、欠乏すると下葉から黄化し生育が著しく停滞します。
Q17.リン酸(P)の植物体内での主な役割として正しいものはどれか?
- ATP・核酸・リン脂質の構成成分。エネルギー代謝・遺伝情報伝達・細胞膜構造維持に関与し、根・花・種子の発育を促す
- 葉緑体チラコイド膜の光捕集アンテナ複合体に含まれ、光エネルギーを電子励起状態に変換する一次電子ドナーとして機能する
- 師管組織の伴細胞に高濃度に集積し、スクロースの積み込み(ローディング)を担う共輸送体の補因子として機能する
- 道管の一次壁に埋め込まれたポリマーを形成し、水分子の一方向的な流れを誘導するアクアポリンを制御する
解説リン酸はATP(エネルギー通貨)・DNA・RNA・リン脂質(細胞膜)の構成成分です。エネルギー代謝と遺伝情報伝達に不可欠で、根の発育・開花・結実の促進に特に重要です。
Q18.カリウム(K)の植物体内での主な役割として正しいものはどれか?
- 気孔の開閉調節・酵素の活性化・光合成産物の転流を担い、根・茎の充実と耐寒・耐病性の向上に寄与する
- 根粒菌との共生タンパク質(ニトロゲナーゼ)の活性中心に含まれ、N₂→NH₃の窒素固定反応を直接触媒する
- クロロフィルのポルフィリン環中心に配位し、光エネルギー吸収波長を可視域全体に拡大する光合成必須元素
- カルシウムと複合体を形成して細胞間隙の中層板に沈着し、果実軟化酵素の作用を恒久的に阻害する
解説カリウムは気孔の開閉調節(孔辺細胞のK⁺の出入り)・多くの酵素の活性化・師管での同化産物(糖)転流に関わります。根や茎の充実を促し、耐寒性・耐病性向上にも寄与します。
Q19.カルシウム(Ca)欠乏が原因となる生理障害として正しいものはどれか?
- トマトの尻腐れ病・レタスのチップバーン・イチゴの果頂部枯死。新葉・果実先端の細胞壁崩壊で症状が現れる
- ホウレンソウの葉縁黄化・ダイコンの黒芯症・タマネギの貯蔵中腐敗。老葉から始まる黄化と組織の崩壊が特徴
- トウモロコシの雄穂不稔・キュウリの曲果・トマトの空洞果。花粉形成と受精過程に直接関与して不結実を招く
- ジャガイモの空洞病・キャベツの二股・ブロッコリーの花球不揃い。茎の維管束が黒化し養水分の輸送が遮断される
解説カルシウムは細胞壁(ペクチン)の構成成分で、特に新組織・先端部で需要が高い難移動性元素です。欠乏するとトマト尻腐れ病・レタスチップバーン・白菜の芯腐れなど先端部・若葉に壊死症状が現れます。
Q20.マグネシウム(Mg)欠乏の症状として正しいものはどれか?
- 葉脈間の黄化(葉間黄化)。古い葉(下葉)から始まり、葉脈は緑色を保ちながら葉脈間が黄色〜白色になる
- 新葉の萎縮・白化・壊死。先端分裂組織が特異的に障害を受け、生長点が枯死して頂芽優勢が失われる
- 葉先・葉縁から始まる褐色の枯死斑。葉全体が急激に崩壊し、茎の節間が異常に短縮して矮化が起こる
- 葉の裏面に紫〜赤紫色の着色(アントシアニン蓄積)と根の異常伸長。水分吸収が阻害されて萎凋を繰り返す
解説マグネシウムはクロロフィルの中心元素(Mg²⁺がポルフィリン環に配位)で、師管内で移動しやすいため欠乏は古い下葉から始まります。葉脈間が黄化し、葉脈は緑色を残す「葉間黄化」が特徴です。
Q21.鉄(Fe)欠乏の症状として正しいものはどれか?
- 新葉の葉脈間黄化(葉間クロロシス)。葉脈は緑色を保ちながら葉脈間が黄白色になり、pHが高いと症状が悪化する
- 古い下葉全体の均一な黄化・落葉。土壌pH 5.5以下の強酸性条件下で可給性が低下し、植物体内から流出する
- 葉先の褐変・枯死と茎の黒変。道管内に沈殿物が形成されて養水分の輸送が物理的に閉塞し、急性萎凋が起こる
- 根の褐変と地下部の壊死。土壌中で酸化第二鉄として固定された鉄が根細胞に直接毒性を示す
解説鉄は葉緑体形成に必要な微量元素で、植物体内での移動性が低いため欠乏は新葉から現れます。土壌pHが高い(アルカリ性)と不溶化して吸収されにくくなり、施設や石灰過剰圃場で起きやすいです。
Q22.ホウ素(B)欠乏で見られる代表的な症状はどれか?
- 生長点の壊死・組織の異常肥大・空洞化。ブロッコリーの花球褐変・大根の空洞・蕪の褐変空洞などで典型的に見られる
- 葉面全体の退緑と紫色斑の混在。日照不足条件下でカロテノイドが分解されずアントシアニンと共存する状態が持続する
- 茎・葉柄の軟化と水浸状腐敗。細胞壁のセルロースミクロフィブリルの架橋が失われ、細菌的腐敗と区別がつかなくなる
- 根冠の消失と主根の異常肥大。根端分裂組織が正常化して側根が大量発生し、水分・養分の過剰吸収で根腐れを起こす
解説ホウ素は細胞壁の構成・花粉管の伸長・糖の転流に関わる微量元素です。欠乏すると生長点や花蕾・根冠など分裂・生長の盛んな組織が壊死・奇形化します。ブロッコリーの花球褐変・ダイコンの空洞などが典型例です。
Q23.窒素(N)過剰による植物の症状として最も正しいものはどれか?
- 葉色が濃緑色になり葉が大きく茂る一方、茎が軟弱・細長くなり(徒長)、開花・結実が遅れ、病害虫への抵抗性が低下する
- 新葉の葉脈間が黄白色になり(葉間クロロシス)、光合成速度が急落して光阻害が頻発し、細胞膜が酸化的に破壊される
- 葉先・葉縁から始まる黄化・枯死(チップバーン)が全葉に広がり、老化促進ホルモン(エチレン)が大量に産生される
- 果実内に苦味成分が蓄積し、種子の発芽率が著しく低下して次世代の繁殖力が根本的に失われる
解説窒素過剰では葉が濃緑色になり茂りすぎる(過繁茂)一方、茎が徒長して軟弱になります。細胞液が希薄化し、開花・結実が遅れ、病害虫への抵抗性も低下します。
Q24.ケイ酸(Si)が農業生産にもたらす主な効果として正しいものはどれか?
- 葉・茎の表皮細胞にSiO₂として沈着して組織を強化。イネの倒伏・病害(イモチ病等)・害虫への抵抗性向上に特に有効
- 土壌中の余剰リン酸と結合して可給性を高め、リン酸の過剰蓄積による亜鉛・鉄の拮抗障害を防ぐ
- 葉面散布することで光合成速度が2〜3倍に増大し、太陽光エネルギーの利用効率を最大限に引き上げる
- 根圏のpHを常時6.8±0.1に自動調整する緩衝物質として機能し、石灰施用を完全に代替できる
解説ケイ酸はイネ科作物に特に重要な有益元素です。茎・葉の表皮細胞に二酸化ケイ素(SiO₂)として沈着し、組織を機械的に強化します。イモチ病・紋枯れ病などへの病害抵抗性向上、茎の倒伏防止、ウンカなど害虫への抵抗性向上に効果があります。
Q25.カリウム(K)の植物体内での主な役割として正しいのはどれですか。
- クロロフィルの中心元素として光合成に不可欠
- 気孔の開閉調節や浸透圧の維持に関わる
- 細胞壁のペクチンと結合して組織を硬くする
- タンパク質合成の際のアミノ酸の運搬を担う
解説カリウムは植物体内でイオンとして働き、気孔の開閉(孔辺細胞の膨圧調節)や浸透圧の維持に重要な役割を果たします。欠乏すると葉の縁が褐変・枯死(葉焼け症状)します。
Q26.リン酸(P)の植物体内での主な役割として正しいのはどれですか。
- 葉緑体の構造を維持して光エネルギー捕捉を助ける
- DNA・RNA・ATPの構成元素として細胞分裂・エネルギー代謝に関わる
- 細胞壁の構成成分として茎の機械的強度を保つ
- アミノ酸の一種としてタンパク質合成に直接使われる
解説リン酸は核酸(DNA・RNA)やエネルギー通貨ATPの構成元素として細胞分裂・エネルギー代謝に不可欠です。欠乏すると根の発育が悪くなり、葉裏が紫色がかることがあります。
Q27.マグネシウム(Mg)の植物体内での主な役割として正しいのはどれですか。
- 細胞の骨格となるペクチンと結合して細胞を接着させる
- クロロフィル(葉緑素)の中心元素として光合成に不可欠
- 気孔の孔辺細胞の浸透圧を制御して開閉を調節する
- 根粒菌との共生に必要な信号物質の前駆体となる
解説マグネシウムはクロロフィルの中心に位置する元素で、欠乏すると下葉から葉脈間が黄化します(葉脈は緑のまま)。また酵素の活性化にも関与しています。
Q28.鉄(Fe)欠乏症状の特徴として正しいのはどれですか。
- 老化した下葉から順番に黄化して枯れ上がる
- 新葉(若葉)から葉脈間が黄化し葉脈が緑のまま残る
- 葉全体が均一に黄化して茎が軟化する
- 葉の縁が褐色に変色して内側から枯死が進む
解説鉄欠乏は移動性が低いため若い葉(新葉)に先に症状が出ます。葉脈間が黄化し葉脈が緑のままの「葉脈間黄化」が特徴です。アルカリ性土壌や過湿条件で発生しやすいです。
Q29.窒素の過剰施用が作物に与える主な影響はどれですか。
- 果実・茎葉が小さくなる
- 茎葉が過繁茂になり病害抵抗性が低下して倒伏しやすくなる
- 根の生長が止まって水分吸収が困難になる
- 葉が黄化して光合成量が急減する
解説窒素過多になると葉・茎が過繁茂(軟弱徒長)になり、病害(灰色かび病・軟腐病など)への抵抗性が低下します。また果実の着色不良や食味低下・倒伏などの問題も生じます。