ヘアリーベッチの栽培Q&A・解説

ヘアリーベッチはマメ科に分類される緑肥作物です。このページでは、ヘアリーベッチに関する全12問を、正解と解説つきの一問一答で整理しています。緑肥・被覆作物など、栽培の現場や検定対策で役立つ知識を、読み物として確認できます。

Q1.ヘアリーベッチの植物分類として正しいものはどれか?

  • マメ科の越年草で、つる性に生育し秋播きで越冬する
  • イネ科の一年草で、直立して夏に旺盛に生育する
  • アブラナ科の越年草で、ロゼット状に展開して越冬する
  • キク科の多年草で、地下茎を伸ばして広がり繁殖する

解説ヘアリーベッチ(Vicia villosa)はマメ科の越年草で、つる性に伸びて旺盛に繁茂します。秋に播いて越冬させ、春に大量の有機物を生産する緑肥として利用されます。

Q2.ヘアリーベッチが土壌に窒素を供給できる主な理由はどれか?

  • 葉の気孔から大気中の窒素酸化物を直接吸収するため
  • 根に共生する根粒菌が大気中の窒素を固定するため
  • 根が下層土の硝酸態窒素を吸い上げて表層に濃縮するため
  • 茎葉に付着した微生物が雨水中の窒素を取り込むため

解説ヘアリーベッチはマメ科植物で、根に共生する根粒菌が大気中の窒素(N₂)を固定します。漉き込むことでこの窒素が後作の養分となります。

Q3.温暖地でヘアリーベッチを越冬利用する場合の一般的な播種時期はどれか?

  • 12〜1月ごろの厳寒期に播く
  • 6〜7月ごろの盛夏に播く
  • 9〜10月ごろの秋に播く
  • 3〜4月ごろの春に播く

解説越冬利用では秋(9〜10月ごろ)に播種します。秋に発芽して越冬し、春に旺盛に生育して大量の有機物と固定窒素を確保できます。

Q4.ヘアリーベッチを緑肥として漉き込む適期として一般的なのはどれか?

  • 春の開花期ごろ、地上部が最も繁茂した時期
  • 発芽直後でまだ本葉が展開していない時期
  • 種子が完熟して莢が茶色く乾いた時期
  • 真冬で生育が完全に停止している時期

解説緑肥は地上部が繁茂し茎葉が柔らかい開花期ごろが漉き込み適期です。この時期は有機物量・窒素含量が高く、分解も速く後作への養分供給が効率的です。

Q5.ヘアリーベッチが雑草の発生を抑える効果に関係するものはどれか?

  • 根から強アルカリ性物質を出して土壌pHを高める作用
  • 土壌の窒素をすべて消費して雑草を枯死させる作用
  • 高温の発酵熱を発生させて雑草の種子を焼く作用
  • 地表を密に覆う被覆と、放出する物質による発芽抑制作用

解説ヘアリーベッチは旺盛に繁茂して地表を密に覆うことと、シアナミドなどの物質によるアレロパシー(他感作用)で雑草の発芽を抑制します。

Q6.ヘアリーベッチの10a当たりの窒素固定量の目安として適切なのはどれか?

  • おおむね0.1〜0.5kg程度
  • おおむね10〜20kg程度
  • おおむね100〜200kg程度
  • おおむね500kg以上

解説ヘアリーベッチの窒素固定量は10a当たり10〜20kg程度が目安とされます。後作の化学肥料の施用量を削減できますが、品種や気象条件によって変動します。

Q7.ヘアリーベッチを漉き込んだ後作で期待できる主な効果はどれか?

  • 後作の収穫物の糖度を必ず2倍に高められること
  • 病害虫への農薬散布が完全に不要になること
  • 土壌pHを酸性側に大きく下げられること
  • 窒素肥料の施用量を減らせること

解説マメ科緑肥は固定した窒素を土壌に供給するため、後作の窒素施肥量を減らせます。ただし収量や品質の保証、農薬不要化を意味するものではありません。

Q8.果樹園などでヘアリーベッチを草生(被覆)利用する主な目的はどれか?

  • 土壌侵食の防止と雑草抑制、有機物の補給
  • 果実を直接大きくする養分の葉面への供給
  • 果樹の病原菌をすべて殺菌する土壌消毒
  • 地温を真夏でも常時10℃以下に保つ冷却

解説草生(被覆)利用では、地表被覆による土壌侵食防止・雑草抑制・有機物補給・土壌生物多様性の維持などが主な目的です。

Q9.ヘアリーベッチの耐寒性に関する説明として正しいものはどれか?

  • 耐寒性が低く、軽い霜に当たると必ず枯死する
  • 0℃を下回ると種子が死滅して発芽できない
  • 冬の低温がないと一切生育を始められない
  • 耐寒性が高く、寒冷地でも越冬しやすい

解説ヘアリーベッチは耐寒性が高く、寒冷地でも越冬しやすいマメ科緑肥です。このため秋播き・越冬利用に適しています。

Q10.マメ科であるヘアリーベッチを漉き込んだ場合、分解の特徴として正しいものはどれか?

  • C/N比が低めで分解が速く、窒素が比較的早く供給される
  • C/N比が高く分解が遅いため強い窒素飢餓が起こる
  • ほとんど分解されず数十年そのまま土壌に残る
  • 分解時に強い悪臭のメタンガスだけを発生させる

解説マメ科緑肥はC/N比が低め(窒素が多い)のため微生物に分解されやすく、漉き込み後比較的早く無機態窒素として後作に供給されます。

Q11.ヘアリーベッチをイネ科緑肥と混播する利点として適切なのはどれか?

  • 両者が必ず同じ日に一斉に開花してくれること
  • 窒素固定と有機物量の確保を両立しやすいこと
  • 種子が混ざることで翌年こぼれ種が一切出ないこと
  • 混播すると窒素固定量がゼロになり管理が楽なこと

解説マメ科(窒素固定)とイネ科(多量の有機物・C源)を混播すると、窒素供給とバイオマス確保を両立しやすく、つる性のベッチの倒伏も支えられます。

Q12.ヘアリーベッチを利用する上での注意点として挙げられるものはどれか?

  • 種子に強い毒性があり素手では触れられないこと
  • 発芽に必ず40℃以上の高温が必要なこと
  • 一度播くと二度と枯れず駆除が不可能なこと
  • こぼれ種から翌年以降に雑草化することがあること

解説ヘアリーベッチは結実後にこぼれ種が残ると、後作の圃場で雑草化することがあります。種子をつける前の適期漉き込みが重要です。