ナスの栽培Q&A・解説
ナスはナス科に分類される野菜です。このページでは、ナスに関する全40問を、正解と解説つきの一問一答で整理しています。土壌・施肥管理・播種・育苗・整枝・仕立て・かん水・養水分管理・病害対策など、栽培の現場や検定対策で役立つ知識を、読み物として確認できます。
ナスとは — 栽培の基礎知識
ナスはインド原産のナス科果菜で、高温性が強く生育適温は昼二十五〜三十度と、日本の夏に最も適した野菜のひとつです。日本各地に長ナス・丸ナス・水ナス・米ナスなど地方品種が根づいており、郷土の食文化と密接に結びついてきた作物でもあります。株の寿命が長く、適切に管理すれば初夏から晩秋まで長期間収穫できるのが大きな特徴です。
栽培では、肥料と水を切らさないことが最重要です。ナスは吸肥力が強く、生育期間が長いため定期的な追肥が欠かせません。一番果は株を疲れさせないよう早めに小さいうちに収穫し、三本仕立てや更新剪定で秋まで樹勢を保ちます。乾燥すると果実がかたく艶のない状態になるため、敷きわらやかん水で土壌水分を安定させます。
連作を嫌うため接ぎ木苗の利用や輪作が基本となり、半身萎凋病・青枯れ病・ハダニ・アブラムシなどへの対策も重要です。以下のQ&Aで、育苗・仕立て・更新剪定・病害虫防除まで、ナス栽培の勘どころを整理して確認できます。
土壌・施肥管理
Q1.ナスの土壌pHの適正範囲として正しいのはどれですか。
- pH 4.0〜5.0
- pH 5.5〜6.5
- pH 7.5〜8.5
- pH 3.0〜4.0
解説ナスの適正土壌pHはpH 5.5〜6.5の弱酸性〜中性です。酸性が強すぎると根の活性が低下し、石灰・マグネシウムの吸収も阻害されます。植え付け前の石灰施用とpH矯正が基本です。
Q2.ナス栽培で窒素肥料を過剰に施用すると起こりやすい問題はどれですか。
- 果実のアントシアニン着色が異常に促進されて商品価値が下がる
- 茎葉が過繁茂となり着花・着果不良(つるボケ)になる
- 根が急速に側方へ伸長して隣接株の根域を侵害する
- 土壌の緩衝能が低下して塩基の溶脱が急速に進む
解説窒素過剰は同化産物が花・果実より茎葉に多く配分されて着果率が低下(つるボケ)します。また果皮が軟化して光沢が失われやすくなります。土壌診断に基づく適切な施肥量の設計が重要です。
播種・育苗
Q3.ナスの育苗において播種後の発芽に適した温度はどれですか。
- 5〜10℃
- 20〜25℃
- 28〜32℃
- 38〜42℃
解説ナスの発芽適温は28〜32℃とやや高めです。発芽後は日中25〜28℃・夜間18〜20℃程度に管理します。15℃以下では発芽率が著しく低下するため、加温育苗が基本です。
Q4.ナス苗の定植適期として一般的な目安はどれですか。
- 本葉2〜3枚展開で根がポット底部から出始めた小苗の段階
- 本葉8〜10枚で第一花が開花直前〜開花中
- 子葉が展開した直後に定植する早期移植の段階
- 主枝が50cm以上に伸びた開花後の大苗の段階
解説ナスの定植適期は本葉8〜10枚で第一花が開花直前〜開花中の状態です。根鉢がしっかり形成され活着が良好な段階です。低温時期の定植は活着不良の原因になるため、地温10℃以上を確認してから行います。
整枝・仕立て
Q5.ナス栽培で「更新剪定」を行う主な目的はどれですか。
- 病害虫の発生源となる古い枝を物理的に除去して薬剤散布を省略するため
- 夏の高温で衰えた株を回復させ、秋に再び多収するため
- 果実のアントシアニン着色を促進して外観品質を向上させるため
- 茎の先端同士をそろえて株の高さを均一に管理するため
解説更新剪定は7〜8月に主枝・側枝を大きく切り戻す作業です。新しい枝を出させることで株を若返らせ、秋ナスの収穫量を確保します。剪定後はたっぷりの水と追肥で回復を促します。
Q6.ナスの3本仕立てで一般的に残す枝はどれですか。
- 主枝のみ(1本仕立て)
- 主枝と、第一花直下から伸びる2本のわき芽の合計3本
- 主枝と任意の強いわき芽2本の合計3本
- 下部から伸びた強いわき芽3本
解説ナスの3本仕立ては主枝(1本)と一番花直下の2本のわき芽を伸ばす整枝方法です。光が当たりやすくなり着果数が確保でき、収穫・防除の管理作業もしやすくなります。
Q7.ナスの3本仕立て栽培で側枝を管理する基本的な考え方はどれですか。
- すべての側枝を放任して伸ばし着果点を最大化する
- 主枝・側枝の果実収穫後、1〜2葉を残して切り戻し次の枝を出させる
- 側枝はすべて根元から除去して主枝1本のみで管理する
- 1回収穫した側枝はすべて株元から切り取り更新する
解説3本仕立てでは各枝の果実収穫後に1〜2葉を残して切り戻し(切り戻し剪定)、次の枝を発生させます。これを繰り返すことで長期にわたり均質な果実を収穫できます。樹勢を見ながら切り戻す位置を調整するのがポイントです。
かん水・養水分管理
Q8.ナス栽培の水分管理として正しいのはどれですか。
- 土壌を乾燥気味に保つことで根が深く張り、乾燥耐性の高い株質に育つ
- 水やりは週1回程度にまとめて大量施用することで根の伸長を促す
- 土壌の水分を十分に保ち、乾燥させないようにする
- 収穫前1週間は水やりを停止して果皮を硬化させる
解説ナスは水分要求量が多い野菜で、水切れが起きると果実の光沢が失われ「石ナス」の原因にもなります。マルチングとこまめなかん水で土壌水分を安定させることが品質維持の基本です。
Q9.ナスを長期間収穫し続けるための追肥の考え方として正しいのはどれですか。
- 植え付け時の基肥を十分に入れておけば追肥は一切不要である
- 果実が肥大し始めたら施肥を控えて窒素を制限する
- 収穫のたびに養分が失われるため、定期的に追肥を続ける
- 窒素肥料のみを継続して多量に施用する
解説ナスは長期収穫型の野菜で、収穫を続けると株から多量の養分が失われます。目安として2〜3週間に1回の追肥を続け、チッソ・リン・カリをバランスよく補給することが長期多収の基本です。
病害対策
Q10.ナスの土壌病害「青枯れ病」への最も有効な対策はどれですか。
- 銅剤・有機銅製剤などの殺菌剤を定期的に葉面と土壌に散布する
- 耐病性品種の利用または青枯れ病抵抗性台木への接ぎ木栽培
- 速効性の窒素・カリ追肥を増量して株の体力を強化する
- 密植を避けて株間を広くとり通気性を高めることで発病を抑える
解説青枯れ病は土壌細菌(青枯れ病菌)による細菌性の土壌病害で、一度発病すると薬剤防除の効果は低いです。最も確実な対策は抵抗性台木(アカナス系統等)への接ぎ木、または輪作・土壌消毒です。
Q11.ナスの「うどんこ病」が発生しやすい環境条件はどれですか。
- 高温多湿で降雨が続く梅雨期から夏にかけての時期
- やや乾燥気味で昼夜の温度差が大きい秋口
- 低温・多湿が続く早春から播種期にかけての時期
- 常に土壌が過湿で根が湿潤状態を保っている条件
解説うどんこ病は他の糸状菌病害と異なり、やや乾燥気味で昼夜の温度差が大きい条件(秋口〜春先)で発生しやすいです。葉面に白い粉状のカビが広がり光合成を阻害します。予防散布と罹患葉の早期除去が基本です。
Q12.ナスに「半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)」が発生した際の典型的な症状はどれですか。
- 株全体が48時間以内に急速に萎凋して枯死する
- 株の片側(半身)だけ葉が黄化・萎れて枯れ上がる
- 果実のみが腐敗・落果して葉茎は正常を保つ
- 根の先端部のみが黒変・腐敗して地上部に影響が出る
解説半身萎凋病はフザリウム菌による土壌病害で、導管への侵入により片側の葉や枝が先に黄化・萎れます。この「半身症状」が名前の由来です。連作を避け、抵抗性台木への接ぎ木栽培が最も確実な対策です。
害虫対策
Q13.ナス栽培で特に問題になる吸汁性害虫で、花・新芽を加害し品質を低下させるのはどれですか。
- アオムシ(葉を食い荒らす蝶の幼虫)
- ネキリムシ(地際で茎を切断する夜行性の幼虫)
- アザミウマ(スリップス)
- ハスモンヨトウ(葉と果実を暴食する夜蛾の幼虫)
解説アザミウマ(スリップス)は0.5〜1mmほどの微小な昆虫で、花や新芽に寄生して食害・産卵します。果実に傷や奇形を引き起こし、トスポウイルスの媒介者にもなります。防虫ネットや粘着トラップが有効です。
Q14.夏〜秋のナスでハダニが多発したときの典型的な症状として正しいのはどれですか。
- 茎の地際部が白色の菌糸に覆われ株が根元から腐敗・倒伏する
- 果実の表皮に茶褐色の輪紋状病斑が現れ病斑中央から胞子が飛散する
- 葉裏から吸汁されて葉面にかすり傷状の白い斑点が広がり重症化すると黄化・落葉する
- 葉の葉脈に囲まれた部分が角形の黄褐色病斑になり葉裏に灰色のカビが形成される
解説ハダニは葉の裏に寄生して吸汁し、葉面にかすり傷状の白点(白緑色斑)を生じさせます。高温乾燥で急増し、重症化すると蜘蛛の巣状の糸がかかって黄化・落葉します。殺ダニ剤のローテーション散布や、天敵チリカブリダニの導入が有効です。
収穫・品質管理
Q15.ナスの収穫適期として正しいのはどれですか。
- ヘタの下まで紫色が及び、果皮に光沢がある状態
- 果実が品種の最大サイズに達し、へたのとげが完全に柔らかくなったとき
- ヘタのとげが柔らかくなり、果実をつかんでも弾力がなくなったとき
- 果実の色が薄くなり始め、収穫期の熟成サインが出たとき
解説ナスはヘタの直下まで紫色が広がり、果皮にツヤがある状態が収穫適期です。収穫が遅れると果皮が硬くなり種が目立って食味が落ちます。品種によりますが開花後15〜20日が目安です。
Q16.ナスの収穫が遅れて「老熟果」を多くつけたままにした場合に起きる問題はどれですか。
- 老熟果のエチレン産生が高まり残りの花芽の成熟を均一に早めて一斉着果が増える
- 老熟果の糖分が養分として再利用されて次果の肥大に好影響を与える
- 老熟果が種子形成に養分を消費し続けることで新たな着花・着果が減少する
- 老熟果の重みで枝が傾いて整枝の作業効率が下がる程度で品質への直接影響はない
解説ナスの老熟果は種子が充実する過程で多量の養分を消費し続けます。その結果、株全体の養分が不足して新しい花芽の形成や次の果実の肥大が停滞します。こまめな収穫で老熟果をつくらないことが長期多収の基本です。
Q17.ナス栽培で「こまめな収穫」を重視する主な理由はどれですか。
- 収穫傷口から揮発性物質が放出されて隣接する未熟果の着色が促進されるため
- 収穫刺激によって根から吸水が急増し着花ホルモンの分泌が活性化するため
- 果実の取り遅れは株の養分消費を増大させ、次の着花・果実肥大を阻害するため
- 収穫による機械的ストレスが節から新芽の萌芽を促して枝数を確保するため
解説ナスは収穫が遅れると老熟果の種子発育に養分が集中し、新着花・着果が減少します。収穫が早いほど株の負担が減り、次の果実の肥大がよくなります。夏季の最盛期は1〜2日ごとの収穫が理想です。
温度・環境管理
Q18.ナスの生育に適した昼間の温度はどれですか。
- 10〜15℃
- 20〜30℃
- 35〜40℃
- 5〜10℃
解説ナスの生育適温は昼間20〜30℃、夜間15〜20℃です。低温(10℃以下)では生育が止まり花粉の稔性も低下します。高温多湿に比較的強い一方、低温・乾燥には弱いです。
Q19.ナスの果実が「石ナス」(硬くて食味が悪い果実)になる主な原因はどれですか。
- 収穫が遅れて種子が成熟・肥大し果肉が圧迫されたため
- 低温・日照不足などで受粉が不完全だったため
- 窒素肥料を過剰に施用して果肉組織の細胞壁が木質化したため
- ハダニやアザミウマに吸汁されて果実組織が硬化したため
解説石ナスは低温・曇天・多湿などで花粉の稔性が低下し、受精が不完全なまま果実が発育した状態です。種子がほとんど形成されないため果肉が硬く、商品価値が著しく低下します。
Q20.ナス栽培でマルチング(ポリフィルムなど)を行う効果として適切でないのはどれですか。
- 土壌水分の蒸発を抑え乾燥を防ぐ
- 地温を保ち根の活性を維持する
- 雑草の発生を抑制する
- 土壌病害(青枯れ病等)を完全に根絶する
解説マルチングは保湿・地温維持・雑草抑制・泥はね防止(病害拡大防止)などの効果があります。ただし土壌病害(青枯れ病等)の根絶効果はなく、輪作・接ぎ木・土壌消毒などの総合的な防除対策との組み合わせが必要です。
食品・栄養特性
Q21.ナスの果皮を紫色に染める主な色素成分はどれですか。
- β-カロテン(ニンジンなどに多いカロテノイド系の橙色〜黄色色素)
- クロロフィル(マグネシウムを含む緑色の光合成色素)
- リコピン(トマトの赤色系カロテノイド色素)
- ナスニン(アントシアニン系の水溶性フラボノイド色素)
解説ナスの紫色はナスニンというアントシアニン系の色素によるものです。アントシアニンはポリフェノールの一種で抗酸化作用が注目されています。加熱・酸・アルカリにより色が変化しやすい特性があります。
Q22.ナスの代表的な栄養特性として最も適切なのはどれですか。
- タンパク質含量が野菜の中でも特に高く、アミノ酸バランスも優れる
- 糖分・でんぷんが多く、野菜の中でも相対的にエネルギー量が高い
- 水分が約93%を占め、食物繊維・カリウムを含む低カロリー野菜である
- 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)がバランスよく含まれている
解説ナスは約93%が水分で占められる低カロリー野菜です。糖質・脂質・タンパク質の含量は少ないですが、カリウム・食物繊維・ポリフェノール(ナスニン等)を含みます。カロリーが低いため調理法次第で栄養バランスが変わります。
Q23.ナスの果皮に多く含まれ、抗酸化作用が注目されているポリフェノール成分はどれですか。
- カプサイシン(辛み成分として知られるアルカロイド化合物)
- ナスニンをはじめとするアントシアニン系ポリフェノール
- グルコシノレート(アブラナ科野菜の辛み・香り成分)
- ルチン(ソバの実などに多いフラボノイド系の水溶性ポリフェノール)
解説ナスの果皮にはナスニンを主体とするアントシアニン系ポリフェノールが豊富に含まれます。抗酸化・抗炎症作用が研究されており、果皮を捨てずに食べることで有効に摂取できます。クロロゲン酸も含まれます。
Q24.ナスの漬物や煮物でナスニン(紫色色素)の変色を防ぐために有効な方法はどれですか。
- 大量の砂糖を加えて加熱し、糖とナスニンを結合させて色素を固定する
- 食塩水に長時間浸してナスニンを溶出させてから加熱する
- 皮を完全にむいてナスニンを取り除いてから調理する
- ミョウバン・酢・鉄鍋など、金属イオンや酸でナスニンを安定化させる
解説ナスニンは鉄・アルミニウムなどの金属イオンや酸性条件で安定化する性質があります。漬物にミョウバンを使う・鉄鍋で煮る・酢を加えるといった方法が色素の定着に有効です。アルカリ(重曹等)では逆に変色が促進されます。
後作・輪作適性
Q25.ナス(ナス科)収穫後の後作として輪作の観点から最も適切な作物はどれですか。
- トマト(同じナス科で土壌病原菌・線虫が共通するため連作と同様のリスクがある)
- ジャガイモ(同じナス科で疫病・青枯れ病の病原菌を共有している)
- ピーマン(同じナス科で連作障害の原因となる微生物が蓄積しやすい)
- トウモロコシ(イネ科で科が異なり土壌病原菌のリセットに効果的)
解説ナスはナス科に属するため、同じナス科のトマト・ジャガイモ・ピーマンは後作を避けます。科の異なるイネ科(トウモロコシ・コムギ)やアブラナ科(キャベツ・ダイコン)などを挟むことで土壌病害の蓄積が断ち切れます。
Q26.ナス科野菜の連作障害を防ぐための輪作間隔として一般に推奨されるのはどれですか。
- 半年間(夏の高温で土壌病原菌は十分に自然死滅するため)
- 1年間(冬季の低温期を1作休めば菌の活動が完全停止するため)
- 3〜5年間(ナス科の土壌病原菌・線虫が土中で長期間生存するため)
- 8〜10年以上(土壌中の全微生物の世代交代に最低限必要な期間のため)
解説ナス科の土壌病害菌(フザリウム・青枯れ病菌等)や線虫は土壌中に3〜5年以上生存します。このため同じ圃場への再作付けは3〜5年の間隔を空けることが推奨されます。接ぎ木苗の使用や太陽熱消毒と組み合わせることで間隔を短縮できる場合もあります。
Q27.ナスを同じ圃場で繰り返し栽培した場合に起きやすい変化として正しいのはどれですか。
- 土壌有機物量が年々増加して団粒構造が発達し作土が深くなる
- 土壌pHが徐々に中性に近づいて石灰・マグネシウムの吸収が改善される
- 土壌微生物の多様性が増えて線虫や病原菌を食べる天敵微生物が増加する
- フザリウム菌・青枯れ病菌・根こぶ線虫などの病原体が土壌中に蓄積する
解説連作によってナス固有の病原菌(フザリウム菌、青枯れ病菌等)と線虫が土壌中に年々蓄積します。これが連作障害の主因です。輪作・土壌消毒・接ぎ木苗の利用など複数の対策を組み合わせることが重要です。
Q28.ナスの連作障害対策として効果的な輪作組み合わせとして正しいのはどれですか。
- ナス→トマト→ジャガイモの順にナス科内でローテーションして科内の多様性を確保する
- ネギ(ネギ科)・トウモロコシ(イネ科)・コマツナ(アブラナ科)などナス科以外の作物を挟む
- ナス→ピーマン→トマトの順にナス科の品種を変えながら連続栽培する
- ナス→同じ品種で栽培期間を短くした短期連続栽培で株を強化する
解説ナス科以外の科(ネギ科・イネ科・アブラナ科・マメ科等)を輪作に挟むことで土壌病害菌・線虫の蓄積を抑えられます。マメ科は根粒菌による窒素固定で土壌窒素を補う副次的メリットもあります。ナス科内でのローテーションは連作と同じリスクがあります。
加工・利用方法
Q29.ナスを切った直後に水・塩水に浸す「アク抜き」処理の主な目的はどれですか。
- 塩水の浸透圧でナスニン色素を細胞外へ均一に拡散させ、加熱後の着色を整えるため
- 酸化酵素による切断面の褐変(変色)と、苦みの原因となるアク成分を抑えるため
- ナスに含まれる過剰なカリウムを溶出させて塩分排出効果を抑制するため
- 切断面の細胞膜を水分で膨張回復させて炒め調理時の食感を改善するため
解説ナスは切り口から酸化酵素が働いて素早く褐変します。水・塩水に浸すことでこの褐変を防ぎ、同時に苦みの原因となるアク成分を軽減します。調理前の5〜10分が目安で、長時間浸すとカリウム等の水溶性成分が流出するため注意が必要です。
Q30.ナスを油で炒める・揚げると特に風味が増す主な理由はどれですか。
- 高温の油がナスの苦み成分(ソラニン類似物質)を分解してうまみ成分に変換するため
- 油脂中の脂肪酸がナス細胞内のペクチンと化学反応して旨み成分を新たに生成するため
- ナスのスポンジ状の多孔質組織が油脂をよく吸収し、油の風味・コクが果肉全体に移るため
- ナスを高温加熱すると果肉内のでんぷんが糊化して甘みが急増するため
解説ナスの果肉はスポンジ状の気泡構造を持ちます。この多孔質組織が油をよく吸収するため、炒め物・揚げ物で油のコクや旨みが全体に広がります。水分が多い割に油をよく吸う性質があるため、調理時の油量管理が品質を左右します。
Q31.ナスの浅漬け・ぬか漬けで「塩もみして水気を絞る」前処理を行う主な目的はどれですか。
- 塩分によりナスニン色素の酸化が促進されて色素を鮮やかに安定させるため
- 細胞壁のペクチンを塩分で溶解させて組織を均一に柔らかくするため
- 脱水により余分な水分を除いて調味料・糠床への漬かりをよくし食感を引き締めるため
- 残留農薬を塩分の浸透圧で果皮から引き出して除去するため
解説塩もみで浸透圧をかけてナスの余分な水分を先に抜くことで、漬け液や糠床への漬かりが均一で速くなります。また食感が引き締まってシャキシャキ感が出ます。水分が多すぎると漬け液が薄まって味のバランスが崩れるため、この前処理が品質を左右します。
Q32.ナスを冷凍保存する際に推奨される前処理として正しいのはどれですか。
- 生のまま輪切りにして急速冷凍することで酵素活性が止まり食感が生に近いまま保たれる
- 大量の塩水に1時間以上浸してアク抜き後、水気を切らずに丸ごと冷凍する
- 素揚げ・蒸し調理などの加熱後に粗熱を取ってから小分けにして冷凍する
- 皮を厚くむいて生のまま角切りにし、砂糖をまぶして冷凍する
解説ナスを生のまま冷凍すると組織が水分の膨張で破壊されてスポンジ状になり食感が著しく低下します。素揚げ・蒸しなどで加熱してから粗熱を取り、1回分ずつ小分け冷凍すると解凍後も料理に使いやすい状態で保存できます。
植物生理・基礎
Q33.ナスの果実のツヤが失われてくすんだ色になる「ボケ果(つや消し果)」の主な原因はどれですか。
- 窒素過剰で葉が過繁茂となり果実への光が遮断されたため
- 低温・乾燥・着果過多などによるアントシアニン生成の低下
- リン酸不足で細胞のエネルギー代謝が低下したため
- ハダニの吸汁により果皮の色素細胞が破壊されたため
解説ボケ果は果皮のアントシアニン生成が低下して紫色の発色が悪くなった状態です。低温・乾燥・着果過多による樹勢低下が主因です。適切な摘果・かん水・追肥で樹勢を維持することが予防の基本です。
Q34.収穫後のナスを8℃以下で冷蔵保存したときに起きやすい「低温障害」の症状として正しいのはどれですか。
- 果実が緑色のまま着色できず表皮が白化する
- 果皮に水浸状の褐変や陥没が生じる
- 果実が過剰に軟化してゼリー状になる
- 果実内部の種子が黒変して硬くなる
解説ナスは10℃以下の低温にさらされると細胞膜が傷んで水浸状の変色(褐変・陥没)が起きます。この低温障害のため、保存適温は10〜13℃が基本です。冷蔵庫での長期保存には注意が必要です。
農業気象
Q35.夏の高温乾燥時にナスの樹勢が低下しやすい主な理由はどれですか。
- 光合成速度が限界を超えて酵素が失活し、根の活性が急激に低下するため
- 高温による蒸散の増大で根からの吸水が追いつかず、株全体の代謝が低下するため
- 夜温が過度に低くなって花粉の稔性が失われ、着果率が大幅に低下するため
- 土壌中の有機物が高温で急速に分解されてpHが上昇し、根の活性が損なわれるため
解説夏の高温期は葉面からの蒸散量が急増し、根からの吸水が追いつかないと樹勢が急低下します。更新剪定(7〜8月)と同時に十分なかん水と追肥を行うことで秋ナスの収量回復が可能です。
Q36.梅雨明け後の高温多湿条件でナスに多発しやすい病害はどれですか。
- うどんこ病(乾燥条件で特に多発するカビ病)
- 灰色カビ病(低温・多湿で多発するボトリチス菌による病害)
- 褐紋病・炭疽病などかび(糸状菌)による葉枯れ病害
- モザイク病(アブラムシ媒介のウイルス病)
解説梅雨明け後の高温多湿条件は褐紋病・炭疽病・菌核病などの糸状菌病害が多発しやすい環境です。整枝による通風確保と予防的な薬剤散布が重要です。なおうどんこ病は比較的乾燥した条件で発生します。
有機農業・環境保全
Q37.有機農業でナスの土壌病害(青枯れ病・半身萎凋病)を軽減する有機的手段として適切なのはどれですか。
- 化学合成の窒素肥料を大量施用して株の体力を強化する
- 抵抗性台木(赤ナス系統等)への接ぎ木
- 除草剤で圃場周辺の雑草を根絶して病原菌の繁殖場所を除去する
- 慣行農薬の散布回数を増やして土壌病害菌の密度を下げる
解説有機農業でも接ぎ木苗の利用は認められており、土壌病害への最も効果的な対策のひとつです。台木として赤ナス系統の品種が広く使われます。有機物施用による土壌の生物多様性向上も病原菌の抑制に貢献します。
Q38.有機農業でナスのハダニ・アブラムシ対策として活用できる資材として適切なのはどれですか。
- 有機リン系殺虫剤(クロルピリホス・マラソン等の化学合成農薬)
- 除虫菊(ピレトリン)製剤や天敵昆虫(チリカブリダニ等)の導入
- ネオニコチノイド系農薬(アセタミプリド等の化学合成農薬)
- 化学合成の殺ダニ剤(アバメクチン・ビフェナゼート等の農薬製剤)
解説有機農業では化学合成農薬が使えないため、植物由来の除虫菊(ピレトリン)製剤や捕食性天敵(チリカブリダニ、タバコカスミカメ等)の導入が有効です。防虫ネットによる物理的防除も基本的な手段です。
流通・販売
Q39.収穫したナスを品質保持しながら保存する適切な温度はどれですか。
- 0〜2℃
- 5〜8℃
- 10〜13℃
- 20〜25℃
解説ナスの保存適温は10〜13℃です。8℃以下では低温障害(果皮の褐変・陥没)が発生しやすく、冷蔵庫(5℃以下)での長期保存は品質を大きく損ないます。水分蒸散を防ぐポリ袋包装と合わせて管理します。
Q40.関西・西日本で特に好まれる「長ナス」の特徴として最も適切なのはどれですか。
- 長ナスは連作障害に最も強く長期栽培に適しているため広く選ばれる
- 果肉が柔らかく、煮物・漬物での食感に優れている
- 長ナスは単位面積あたりの収穫量が他品種より最も多い
- 長ナスは収穫後の日持ちが他の品種より最も優れている
解説長ナスは果肉が柔らかく、煮浸しや田楽などの料理で口当たりが良いのが特徴です。関西では「大阪長ナス」など地域ブランド品種が根付いており、用途と地域性が品種選択に大きく影響します。